最近は便利な世の中になってきましたね。
以前は教室でレッスンする人も、市場で登録して仕入れるのが主でしたが、今はネットで注文すれば届けてもらえたりします。
さらに、問屋さんが運営するサイトでは、あらかじめデザインしたサンプルを提示して、それに必要な花材をセットで購入するということもできるようになりました。
私みたいなまだまだ初心者には、自分で花材を選んで購入するのはハードルが高いです。
花材セットを購入してレッスンした方が安全でしょうか?
デザインに自信がないから、ということかな?
はい。
それにロットとかもあるので、生徒さんがあんまり集まらない時はセットの方がお得かなーと思ったのです。
あらかじめデザインされたものの花材がセットされているって、夢みたいに感じますね。
若干割高ではありますが、その手軽さ、ロスのなさを考えるといいとこばかり…に見えます。
さて。本当にそうでしょうか。
今回は、花材セットを購入することのデメリットに着目してお話してみますね。
セットされたものを使用することの危険性①-二つとして同じ花はない
はい。出ました。この話笑
お花って同じ花の同じ色、と言っても、それぞれ微妙に形・色・曲がり・サイズが違うのですよ。
それがセットされているわけですから、見本として作られた画像通りにはいかないかもしれません。
そうなったときに、デザイン力がないあなたが、生徒さんに対してどのように対処してあげられますか?
“同じ花材”がどれだけ違うかサンプルを作ってみました。
これが見本で作ったもの。
これと”同じ花材”で作ったものが…
これです。
- ピンクのバラの開き具合、色味
- 黄色のガーベラの大きさ
- ピンクのセンニチコウのサイズ
がまるで違うの、わかりますか?
弟子にやってもらったので、少し上手すぎますね。
無意識にバランス取れてしまうらしい笑ですが、見本通りに生徒さんが作ろうとしたら、たぶんこうはいかないはずです。(見本通りに配置していくと、実はスカスカでお花が足りない!って感じになります)
見本は黄色とピンクがバランスよく配置されていますが、それを見て作った方は、ピンクが濃いのでピンクがメインの作品に見えるのではないでしょうか。
今回、花材を準備するときに、うっかり「バラは小さめだから、ガーベラは大きめにしよう」とバランスを考えてしまいました。
セットを作っている方が、どこまでそういう事を配慮してくれているか?で、出来上がりが結構変わってくる気がします。
あなたにデザイン力があれば、何セットか購入した中で状態を見てバランスよく入れ替える、なんてこともできますが、なければ…レッスンの時間にどうにかしなければならなくなってしまいますね。
セットされたものを使用することの危険性②-デザイン力が育たない
セットされたものを使用していると…デザイン力は向上しません。
考える・工夫する・失敗から学ぶ。
これがとても大切なのです。
自信はなくても、自分で買ってみて、組み合わせてデザインしてみる。
そうすることによって、色味によってサイズ感が変わる事や、1ロットの中でどれだけ形や色にばらつきがあるか?など、本当にいろいろなことが学べます。
デザインについては、正直、レッスンを重ねれば上がっていきます。
ですが、自分で花材を選ぶ力、こればかりは経験することでしか身につきません。
初めは失敗もあるでしょうから、もしもの場合の花材を準備して置いたり、ギリギリになって近所のお花屋さんに駆け込んだり、ひやひやすることもあるでしょう。
でも、そうした経験がすべてあなたの力になります。
プロフェッショナルってやっぱり近道はないのです。
あなたがお花のプロしてお金をいただいてやっていきたいのであれば、楽なことは選ばないでほしいです。
セットで花材を揃えて、誰かがデザインしたものを生徒さんに提供する。
それだけのことなら、生徒さんが自分で購入して自分でやってもそんなに変わらなくないですか?
あなたの教室に行って、あなたに教えてほしい。
そんな存在になるためには、できるだけたくさんの失敗やヒヤリを、怖がらずに体験していきましょう。
生花の花材セットを購入してのレッスンはお得か? まとめ
結論としては、金銭的・時間的な意味では間違いなくお得です。
ロスもないわけですし、探す時間・考える時間・手間が省けますから。
ですが、あなたの経験、という視点で考えると大損です。
たくさんの学びの機会を失ってしまいます。
もちろん、花材セットを全否定はしません。
あなたにデザイン力がついてからなら、便利に利用することは良いと思います。
確かにデザイン力は見ているだけでは身につかないですよね。
失敗はしてもいいんですよね。
失敗を怖がってばかりいずに、たくさんチャレンジしていってプロの先生になれるようにがんばっていこうと思います。