にこはながまだ自宅教室だったころ。
開校してそれほどたっていないタイミングで彼女はやってきました。
すでににこはなに通ってきてくださっていた方と職場が同じで、にこはなを知ったそう。
生け花の経験あり。
でもフラワーアレンジメントは初心者。
いつも微笑みをたたえていて。
でも親しみやすいというよりは凛とした雰囲気を持った方でした。
そんな彼女が先日お空に戻ってゆきました。
ここで語るべきなのか悩んだのですが、
にこはなを通して彼女との時間を共有したことのある方々に、
彼女のことを思い出してほしい、そう思いました。
なので、今回は彼女のことを語らせてください。
所作の美しい女性でした
当時のにこはなはすべてのレッスンがフリースタイルだったのですが、
昼間の時間は主婦の方やお子様連れの方でわいわいにぎやかな感じ。
それが、夜の部になると、仕事帰りの方で満席になり、
それぞれがもくもくとお花と向き合う。
みなさんの真剣なまなざしが印象的な時間でした。
彼女は、その中でもより真剣にお花に向き合っていたい気がします。
いつも姿勢よく美しい手さばきでお花を取り扱っている人でした。
中でも印象的なのは、毎回レッスンが終わると、
「手を洗わせてください」
と声掛けし、手をきちんと洗う。
そして、きれいに折りたたまれたハンカチで丁寧にふき取り、
さらにそのハンカチをまたきれいにたたむ、という一連の美しい所作。
「育ちの良い方なのだな」ということが一目でわかる、そんな方でした。
変わっていくにこはなとともに過ごしてきてくれた人
にこはなは今のアトリエに場所を移し、
レッスン体系もガラッと変わっていったわけですが、
彼女はそんな激動のにこはなを一緒に過ごしてくれた数少ない生徒さんの一人でした。
にこはなのレッスンが基本をしっかり教えようという体系に変わったときは、
すでに彼女のアレンジスタイルが確立されていたし、
とても上手にできている状態だったので、
そのままフリーのコースで継続していただいたのですが。。。
とあることがきっかけで、中村の腕がスゴイ! と感じてからは、
「もっともっと上手になりたい」
「先生からいろいろと吸収したい」
という気持ちに火が付いたようでした。
そこから基本のコースに入り直し、新しいことを覚えていくことを心の底から楽しんでいるようでした。
「楽しくてしょうがない」
そんなうれしい言葉を発してくれていました。
ある日、そんな彼女を病魔が襲ったのです。
あんなにお花が好きな彼女でしたが、一時は「お花を見る気にもなれない」と口にするほど
つらい闘病生活を過ごしていました。
しばらくして無事ににこはなに戻ってきてくれました。
2016年には、コルトン文化祭にイベント参加し、初めて大きな作品にチャレンジ。
「難しい~」と言いながらも、誰よりも「楽しかった!」と笑顔を見せてくれたことを覚えています。
打ち上げの韓国料理を「おいしい、おいしい」って喜んで食べてくれた姿はとてもかわいく、
とても砕けた感じがして、何でもリラックスして楽しんでいる、そんな風に見えました。
こんな時間がずっと続くことを心から願っていました。
最後までお花を愛した本当に素敵な女性でした
一度は元気になったものの、その後は再発や他の病気を併発したりして、
その度に乗り越えていつもいつもがんばっていらっしゃいました。
いろいろなことを体験して、凛としたちょっと距離を感じる女性から、
にこにこ笑う力の抜けた自然体の彼女に変わっていく。
そんな姿をずっと見てきました。
そんな彼女が、先日お空に帰ってゆきました。
よくがんばってえらかったね。
けど、もうがんばらなくていい。
のんびりゆっくり眠ってほしいなぁ。。。と心から思います。
楽しい時間をありがとうございました。