私たちは、フラワーデザインって皆さんが思っているより難しくて、奥が深いんだよって思っています。
ですが、お花があまりにも身近に存在するからでしょうか。なんとなく誰でもできそうって思っているところがあるみたいです。
ですが、実際に触れ合った方から
「私、センスないんです」
とか
「習っていたのに、うまくならないんです」
とか、本当によく耳にします。
想像していたのと違っているから出る言葉なのだと思います。
でも、そんな難しいわけでもなくて、センスがなくても誰でもうまくなることはできるのです。
そのあたりのことがうまく言葉に出来ないのですよ。
実際ににこはなに通っていただければ、「こういうことか」とあっさりわかるので、花こころマスターコースの2年が終わる頃には、「この微妙な違い、なかなか伝わりませんよねぇ」なんてことを、一緒に話せるぐらいになるんですけれど。
そんなジレンマを抱えている中、体験の方にどういうレッスンでどう伝えるか?という打ち合わせを姉妹でしていたら、講師 中村が突然こんな話をしだしたのです。
わかるわかる~
私も、ついに食材はカットされてるやつにしたもん
はじめは何のことやら・・・でしたが、よくよく聞くと、なるほど料理はお花と似ているかも。と思えたので、フラワーデザインの難しさを料理の難しさに例えてみますね。
以前にもお料理の例が出てきましたね。よかったらこちらも読んでみてくださいね。
誰でもできそうなお料理ができない人がいる謎
にこはな講師中村は、料理が苦手です。もはや、料理というものを憎んでいるレベルに。
彼女の頭の中では、きっとこうなっています。
誰でも普通に料理できているのに、私にはできない。
才能ないんだな。きっと。
正直、彼女の料理のできなさは神がかっています。
食材の扱い方もよくわからないし、どのぐらい火を入れたらいいのかわからないので、いつも過熱しすぎてお肉なんてカチカチです。(お魚はさわれないのでトングで掴みます)
なぜそんなにできないのかという理由について私は、「やらないからうまくならないんだよ」としか思っていませんでした。
本人もセンスがないし、嫌いなものは嫌いなんだ、とずっと思っていたわけです。
ただ明らかなことは、「面倒くさいことが嫌いだから、努力はしなかった」ってこと。
そこに原因があるとは思っていたのですが、努力をしないとなぜできないのか?ってことまでは、考えたことがなかったんです。
菊池は結構お料理上手です。でも、努力したのかというと努力って感じのことはしてないなぁ、と思うのです。
ただやり続けていたらうまくなってたってだけなのです。
「できない」なんて感情は持ったことが一度もないので、謎しかなかったのですよ。
中村自身も自分のことなのに、自分が何がわからなくて料理をすることに不安を抱えているのかまでは考えたことがなかったのです。
彼女は、食べることは好きですが(笑)、味にはそれほどこだわりがなく、
どうして料理なんてものがあるんだろう?
毎食宇宙食みたいなのでいいのに。
チューブでちゅーーっとおなかに入ればいいんだ。
とよく申しておりました…
でも、今はにこはなが本当に好きだと言ってくれる生徒さんに囲まれて、このスタイルを後世に残したいという熱い気持ちがあるので、健康管理をしっかりしなきゃ、と思い立ったようです。
そのためにはやっぱり食生活が大切。
過去には、メニューに合わせた食材を届けてくれるサービスを利用していたこともあります。でも、結局それもだんだんと作らなくなり、大量にたまる羽目に。
次に出来上がったものを温めればOKのものも利用したことがあります。
それはそれでよかったのですが、1回あたりの冷凍量が多くて、何食も頼めないという事が起こりました。
「わからない」ことをひとつ排除して向き合ってみると・・・できた
今回初めて聞いた最後の手段が、カット済の野菜で届く食材セット。
私から見たら、切られていない食材が入ったセットとそれほど何が違うんだろう?という気がするし、むしろ、カットしてある方が日持ちしなさそうだし、という印象でした。
ところがです。 食材が届いて数日たった日のこと。
これなら何も悩まずに作れるの!
と感動しておっしゃったわけですよ。
お料理を憎んでさえいた彼女の悩みを解決できた理由は何だったと思いますか?
彼女は、「食材をカットする」という下ごしらえを無くしたセットを経験してみて、自分が苦手だったポイントがわかったのです。
中村は、まずは食材を切るとき似必要な”塩梅(あんばい)”ということが苦手だったのです。
みじん切りってどこまでみじんにするの?
薄切りの薄さってどのぐらい?
人参一本って、物によって量が違うよね?
そんなことがわからず、毎回そこで思考が止まっていたのです。
え?そんなことで?と思う方もいらっしゃるでしょうか。
適当でいいのよ、そんなものって言ってあげたくなりますよね。
でもですね。
「薄切りだからこのぐらいでいいんだよ」の「これぐらい」っていうのは、実は、その人自身がこれまでに積み重ねで得た感覚なのですよ。
怖がらず、「これでいいか」って思ってやってみた。
その結果別に問題なかったのではあれば、またそうすればいいって思うし、失敗したって思えば、次回はそこを変えてやってみたりしてきたわけです。
その体験あっての「適当」なのですよね。
さらにその次の調理に入ると、また難関がやってくるわけです。
“ひとつまみ”ってどのぐらい?
“少々”ってどういうこと?
“さっと”いためるとは?
材料を切るところから謎まみれなのに、さらに調理段階でも不安ぱっかり。それじゃあ嫌になってしまいますよね。
わからないことが山積みになると、人はドコから手を付けていいかわからないって状態に陥ってしまうものなのですね。
フラワーデザインとお料理の上達の共通点 まとめ
つまりですね。
お花も料理も、分からない部分にフォーカスすることが大切で、その部分に必要な勘所やコツを習得して埋めていけば、うまくできるようになるよってことをお伝えしたいのです。
中村の料理の場合、カット済みの食材を使用することで、「調理する」という部分に対するコツを体得することに集中できたということなのです。
そこでたくさん失敗して、トライ&エラーしていけば、必ず上手になれるはずなのです。
このセットのすごいところはそれだけじゃないと思うんです。
毎回届くカット済みの野菜の姿を見続けていれば、「こういう料理の時はこのぐらいのサイズなんだ」ということが少しずつしみてきます。
つまり、無意識だと思うのですが、だんだんと一人で食材を買っても不安なくカットできるようになっていると思います。
そして、そのうち
「冷蔵庫にあったあの野菜も加えてみよう。そうなると味が薄くなるから、あれとあれもちょっとずつ追加しよう」という応用力がついてくるはずなのです。
まさにお花も同じなんです。
「自分でお花を選んでアレンジメントできるようになる」というゴールに辿り着きたいのに、「私にはセンスが無いんだ…」と思っているのだとしたら
アレンジメントに向いていて、色的にバランスが取れている、きちんとした材料をプロに揃えてもらい、それを使ってアレンジすることで、まずはコツやカンの部分に集中して身に着けることができるのです。
そして、それが身につけば、アレンジメントの応用もできるようになり、おそらくみなさんが考えている”センス”のようなものが感じられる作品を作れるようになるわけです。
材料を集める力をつけるのはその先のステップになります。
というわけで、お料理もお花も、様々な違うステップのコツの複合技であるということがなんとなくわかっていただけだでしょうか?
そういう意味では両方ともなかなか手ごわいものなのですよね。
プロの腕とか市販の材料などを上手に使って、一つ一つのステップに集中してコツを身に着けていけば、すべてそろった時に心から楽しい、できた!と思えるようになるのだと思います。
お花でもお料理でも、私はダメだ…と思わずに、少しずつ学んでみることをおすすめします。