日本の清く美しい心を表す言葉の一つである「モッタイナイ」
とても良い言葉だと思いますし、大切なことだと思います。
ですが、お花の世界でこれを大切にすると…
お花が本当に私たちにもたらしてくれるものを見落としてしまうのではないかと思います。
先日こちらの朝日新聞での調査で、「お花を買わない理由」として2番目に上がったのが「枯れるのが嫌」という事でした。
お花屋さんで「持たないでしょ?」なんて言葉はよく耳にしますし、できるだけお花に長持ちしてほしいという気持ちは確かに誰にでもありますよね。
ですが、よーく考えていただきたいのです。
そもそもが土から栄養を取っていたお花たち。
切り取った時点でカウントダウンが始まっています。
今回はお花がもたらしてくれる大切なものについてお話してみたいと思います。
お花があなたの手元に届くという奇跡
生産者さんが大事に大事に育ててきたお花たちは、今だ!という瞬間にみなさんのもとに行く準備をします。
大切に箱詰めされ、傷つかないようにと運ばれ、そこから全国の市場へ行き、卸業者さんの手を経て、お花屋さんとやってきます。
その間に、たくさんの手から手へと渡ってきて、大事に大切にされてお花屋さんに並んでいます。
その間に残念だけどしおれてしまう子もいますし、隠れていた病気が出てきてしまう子もいます。
つまり。お店に並んでいる子は、たくさんの愛を受けて、その中で生き生きと生きていた奇跡みたいな存在なのですよ。
「生きている」からこその輝きであり、エネルギーなわけです。
私たちはそれをいただいて、元気になったり、癒されたり、甘い気持ちになったり。
いろいろな感情をお花たちからいただいているわけですが、それはお花たちが「生きている」から。
そんな子が、ある時、生を終える。それってすごく当たり前のことですよね。
あなたにたくさんの幸せを与えて、その役目を終える。
もう、ありがとうしかないです。
お花を持たせるテクニックは必要か?
巷には、お花をできるだけ持たせるコツとか裏技みたいなものがあふれています。
その中には、その通り!もあればそれはちょっと…というものもあります。
けどね。
私たち人間に個性があるのと同じようにお花たちにも個性があります。
- どこで生まれたのか?
- 温室栽培なのか、季節通りなのか?
- そもそもが持っている性質
- もともとの体質(?)
そういうものが複雑に絡み合っている以上、これ!っていう決定版ってないんじゃないかな、と言うのがにこはなの見解です。
それでも基本として。
- エアコンなど風が直接当たるところには置かない
- 温度が上昇してしまう場所は避けた方が良い
- お水の細菌が繁殖しないタイプの延命剤的なものを入れた方が良い
というのはあります。
でもこれって、決してお花ができるだけ長持ちしてくれて、コスパをよくするため、ではないです。
お花にとって良い環境を作ってあげる。そのためにすることです。
お花って人間にとても似ているから
ここからちょっと怖い話になりますし、かなーり主観的な話になりますが…
お花ってとても人に似てるなって思うのです。
二つとして同じものはありませんし、もともと体の弱い子がいたり、派手な子がいたり、地味な子がいたり。
フラワーアレンジメントをしていると、
その子たちそれぞれの個性を活かしたり、思わず折れてしまった子や規格外の不思議な形をした子も、どう配置してどんな役割で輝かせてあげるか。
そんなことを考えます。
お花が長持ちしてくれて、私をずっと笑顔にしてくれたら、”確かにコスパは良い”かもしれません。
でも、いろいろなテクニックを使って、必死に延命して…って自分がされたらいやだろうなぁ…とかつい思ってしまう自分がいます。
しかも、命を全うしたのに、「もう枯れちゃったよー損した」なんて言われてしまったら…
生きているからこそ得られるものがあり、その生を終えたなら感謝してお別れする。
お花ってそういうものなんだろうな…と思うのでした。
ありがとうの気持ちでお花たちのエネルギーをいただくこと まとめ
お花たちを大切にしたいからーという事で、ほとんどだれも見ることがない、薄暗い玄関に置いたなら、長持ちするかもしれません。
ですが、それこそもったいないなって思いませんか。
お花たちはみなさんに見てもらって、「きれい」「かわいい」「癒される」「元気になれる」そんな気持ちを持ってもらうために、あなたの手元にやってきています。
せっかくだから、たくさん元気もらっちゃいましょう。
たくさん愛でて、かわいがってあげてください。
それである時、その生を終えたなら、「ありがとう」の気持ちでお別れしましょう。
お花は枯れるから買わない。
それはそれでよい選択なのかもしれません。
ですが、手元にお花がいるからこそ得られることってプライスレスだと思います。
お花の可愛さ、素敵さを喜べる。そんな人間でありたいなーと私たちは思うのでした。