フラワーアレンジメントを経験したことがある人は、たぶんこんな風に思っているのではないでしょうか。
上手な人って、頭の中に設計図があって、それに向かって挿しているんでしょう?
私にはそれがないんだもの。最初の一本さえ不安だわっ
実際、体験にいらっしゃる方に、
まずは自由に挿してみてください
っていうと、最初の一本がどうしても挿せない、という方がわりと多いです。
なんでもいいのに、その一本が挿せない。
その様子を見てて思うのは、みなさん、フラワーアレンジメントには答えが合って、その一本を挿した瞬間、「はっずれー」ってなってしまうんじゃないか?という恐れがあるのではないかと思ったのです。
その恐れがドコから来るのか、といえば、正解ではないことに対する不安だと思います。
ては、お花の先生を初めたとした、フラワーデザインを仕事にしている人たちには、答えを知っているのでしょうか?
フラワーデザイナーも設計図を描いて作品を作るわけではない
某有名生花店で店長まで経験し、お花業界歴が20年を超えている、にこはなの講師中村は正解を知っていているのでしょうか?
実は、このお花でこういうデザインが完成する、という具体的な答えみたいなもの、設計図のようなものは脳内にあるわけではありません。
ただ、みなさんとちょっと違うのは、ぼんやりとした道筋は見えています。
この枝をこんな風にして、この色のお花とこの形のお花、グリーンがあればほぼ形になるはず。
いつもそんな感じで花材を選びます。
そして、その方向性の元、コンパスだけをだけを頼りに航海に出る、そんなイメージなのです。
(たまーに沈みかけるときもあるらしい笑)
以前、あるテレビ番組でフラワーデザイナーさんが装飾の仕事を終えた後、こう問われます。
「作品が出来上がった時、何を思いますか?」
それに対し、デザイナーさんの答えは
「ああ、今回はこうなったか、と思います」
まさしくその通り!なのです。
できあがって初めて、自分がたどり着いた結果としての作品がそこにある、という感覚。
どんなすごいデザイナーさんでも、おそらく仕上がりがどんな形になるかはやってみないとわからないものなのです。
だからこそ、「お花を活ける」という行為は飽きることがなく、わくわくが止まらないのだと思います。
お花が上手な人はどうやって作品を作っているの?
またまた~
だったらどうしてあんなにきれいに仕上がるの?って思いますよね。
実は、フラワーアレンジメントって、お宝探しの冒険のようなものなのです。
“お宝”というのは、
ひとつひとつのお花の一番素敵な姿のこと。
そのお花が一番きれいに見える位置だったり、向きだったりです。
毎回、それを探すところから始まります。
一本一本のお花としっかり向き合って、どこにいてほしい、どこにいたい?と対話しながら進めていくイメージです。
ただし!
すべてのお花のよいところばかり並べてもきれいには仕上がりません!
全員が「俺も見て!」「私も!!!」と主張し合ったらどうなってしまうでしょう?
結局は誰一人目立つことがない、色の塊になってしまいます。
そうならないためには、
今回の主役はこの子。と決めて、他の子は脇役に回ってもらうことも大切です。
ある子たちは群舞になってもらったり。
そう。
フラワーアレンジメントは、舞台のようなもの。
アレンジメントを作るあなたは舞台監督です。
舞台に上がる子たちをどう輝かせるか?
それを考えるのがフラワーアレンジメントなのです。
大切なのはとりあえず進む。立ち止まって時には戻ること。
お花たちとの対話で舞台を作り上げていく中で大切にしたいことは、
細かくシナリオを一歩一歩作り上げていくのではなく、
あらすじを考えてから、細かいところを詰めていく、
ということ。
どういうことが言いますと、お花を挿し始めるとだんだんときれいにすることに夢中になってしまって、ひとつひとつを精密につきつめていきたくなります。
お花というものは自然のものなのですから、当然段々とつじつまが合わなくなっていきます。
そうなると行き詰まります。
フラワーアレンジメントは、ジグソーパズルではありません。
すべてのお花がバシっとはまるとは限らないのです。
出来上がって見てみたら、自分が思いもしなかった形になっているという事もあるのです。
なので、ある程度、「主役はこの子、準主役はこの子。」そんな感じでちょっとした道筋が見えてきたら、とりあえず突き進む。
確認してみる。
違うな、と思ったら道を変える。
そんな風に柔軟性を持って進めてみましょう。
フラワーアレンジメントに正解はないーお宝探しの冒険のようなもの まとめ
どんなすごいデザイナーさんでも完全な設計図をもって作品を作っているわけではないはず。
“こんな感じで”
“こういうイメージで”
というぼんやりした方向性で花材を集め、実際にその花材と向きあってみたら、こんな作品が出来上がっていた。
そういうものだと思います。
だから、あなたも
こうなるはずだ。
答えは何だろう?
そんな窮屈な縛りから心を開放して、楽しい冒険に出る気持ちでお花と向き合ってみることが、実は一番大事なのでます。